PROJECTProject

PROJECT05

機械設計の効率化と品質向上に向けた
「SOLIDWORKS」の機能拡張と
設計者向け教育カリキュラムの策定・実施

業界 メーカー
クライアント ブラザー工業株式会社
プロジェクト期間 2013年〜継続中

サマリー

工作機械や工業用ミシン等の設計・製造を手掛けるブラザー工業様(以下同社)では、かねてより3DCADツール「SOLIDWORKS」を使った機械設計(3Dモデル)と図面の作図を行っています。本プロジェクトが始動する2013年以前には、成果物となる3Dモデルと図面を手作業で管理していたため、過去図面の元データがすぐに取り出せないなどの運用課題に悩まれていました。そこで当社では、作図情報を一元管理する『PDM(Product Data Management)』へ自動登録を行う連携機能をSOLIDWORKS上に開発。その他にも、設計業務のさらなる効率化を目的としたアドオン開発の提案や、同社の新任設計者に向けたSOLIDWORKSの独自教育カリキュラムの策定・実施を行い、クライアントの業務品質向上に貢献しています。※SOLIDWORKSはDassault Systèmes SolidWorks Corporationの登録商標です。

プロジェクトの課題

  • 成果物の手作業管理による設計データの認識間違いや作業の手戻りを解消するため、常に最新データを一元管理できる基盤(PDM)とその運用方法を考案する必要があった。
  • ハーネス類の3D化や評価、解析ツールへのデータ入力にかかる時間削減が課題だった。そこでハーネス設計ツールの導入や解析ツールとSOLIDWORKSのデータ連携機能を開発する必要があった。
  • その他、設計図面の細かな変更点が把握しづらいなど設計者が不便に感じる点を解決するため、SOLIDWORKSのアドオン開発(機能拡張)を行う必要があった。
  • また、既存の外部教育では同社独自の設計業務に活用できないという問題を解決するため、SOLIDWORKSの運用ルールと実践力を養う教育カリキュラムを策定する必要があった。

課題に対峙した
ABSのアイデア

  • コンカレントエンジニアリンググループN.K

    コンカレントエンジニアリンググループN.K

    SOLIDWORKS上のデータをPDMに連携する上では、保存した図面情報が正しく反映されているか、その整合性を保つ点に苦労しました。特に数多くの設計者が在籍する同社では、所属グループごとに図面の作り方やデータ構成が異なるため、意図しない運用方法によりモデル形状が正しく表示されないなどの問題も発生しました。各グループの業務フローを正しく理解するのはもちろん、同社の業務運用ルールの集約化にまで踏み込んだ整備を行うことにより、PDMへの自動登録を実現できました。

  • コンカレントエンジニアリンググループT.Y

    コンカレントエンジニアリンググループT.Y

    SOLIDWORKSを始めとした設計ツールはあくまで市販ツールであるため、ツールの機能理解やデータ構造・アドオン開発方法を深く理解し、業務に合わせたカスタマイズを行うことには相応の苦労がありました。しかし、これらの経験によりABSにおけるSOLIDWORKSスキルが蓄積され、その後のハーネス設計ツールや解析ツールなど、お客様の求める業務ツールとの連携へと広がりを持たせることができました。今後も時代の最先端を行く効率的な開発プロセスを実現できるよう、SOLIDWORKSの活用を広げていきたいと考えています。

  • コンカレントエンジニアリンググループK.A

    コンカレントエンジニアリンググループK.A

    その他にもSOLIDWORKSでは、同社の設計業務に役立つアドオンを多数開発しています。例えば、以前同社には設計変更時に過去と最新の両図面を印刷し、透かして変更内容を点検する業務がありましたが、細かな変更点の把握が難しい問題がありました。そこで、SOLIDWORKS上で対象図面を自動で重ね合わせ、差分箇所を異なる色で表示するアドオン機能を開発。お客様の日常的な業務の中から改善点を見つけ出し、成果へと繋げられた事例です。

  • コンカレントエンジニアリンググループR.H

    コンカレントエンジニアリンググループR.H

    「現場ですぐに役立つ教育カリキュラム」を合言葉に、同社と共に業務フローに沿ったプログラムを策定してきました。特に重視されていたのは、SOLIDWORKSの基本的な使い方以上に、実際の設計業務に即した操作手順や成果物(モデル・図面)管理を始めとした運用ルールの理解徹底です。かねてより同社のSOLIDWORKSの機能拡張に携わり、同社独自の設計業務を熟知している当社だからこそ、他ベンダーでは解説できない要点の数々を伝えられているのだと感じます。

Column

Column

本プロジェクトでは、SOLIDWORKS自体の機能拡張と並行して、その操作・運用ルールを設計現場に浸透させる教育カリキュラムに力を入れています。教育カリキュラムの策定から、資料の整備、講師担当までアビームシステムズが一貫して対応し、PDCAをくり返しながらお客様と共により良い教育内容へと刷新しています。現在では、オリジナル講義動画を用いたeラーニングまで展開しており、視聴後アンケートをもとに講義内容の改善に役立てるなど、すぐに役立つ教育カリキュラムを提供しています。

プロジェクトの成果

  • SOLIDWORKSデータをPDMへと自動登録する連携機能の実現と共に、設計グループごとに異なっていたデータ構成や操作手順などの業務運用ルールを統一化することができた。
  • SOLIDWORKSの追加アドオン機能を実装するたびに、現場の設計者から「設計作業の効率が上がり、便利になった」との評価をいただけるようになった。
  • 設計者とのコミュニケーションを切り口に、ハーネス設計ツールや解析ツールなどとの連携機能を開発・導入・教育しSOLIDWORKSの付加価値が向上。業務効率化と品質向上に貢献する。
  • SOLIDWORKSの操作スキルと同社独自の業務運用ルールも含め、すぐに現場で実践できるレベルの教育カリキュラムを提供してきたことで、新任設計者の作業効率を高めることができた。

成果に対する「お客様の声」

  • ブラザー工業株式会社工業ミシン開発部チームマネジャーY.M様

    ブラザー工業株式会社
    工業ミシン開発部 チームマネジャーY.M

    「第四次産業革命」とも言われるインダストリー4.0への対応が急がれる現在。アビームシステムズの皆さんよりご提案いただく、SOLIDWORKSを主軸とした多岐に渡るサービス提供とその成果は本当に心強いものだと感じています。今後も、当社のモノづくりの課題や改善ポイントに対して積極的に目を光らせていただきつつ、設計者が常に効率よく品質の高い設計に取り組めるようなソリューションを期待しています。

プロジェクトの
アーキテクチャ図

  • ① ユーザーはSOLIDWORKSで機械設計や作図を行う。ハーネス設計ツールや解析ツール、アドオンを活用し、効率良くデータを作成する

    ② 図面データは作成されたバージョンごとに自動的にPDMに保管される

    ③ ユーザーは確認したいバージョンの図面データをいつでもPDMから出力できる

    ④ ユーザーは教育カリキュラムを活用し、SOLIDWORKSと各連携ツールについて自発的に学ぶことができる

Diagramプロジェクトのアーキテクチャ図